D-flip工法(任意深度定着型仮締切り工法)

任意の高さで作業空間を構築する省エネ工法
補修・補強工事に必要な範囲に限定して構築する小規模な仮締切り設備のため、
工期短縮・コストダウンが可能です。
名前の由来


開発者である第一建設工業(Daiichi)の頭文字”D”および構築するDry空間の”D”と止水構造の基礎となるライナープレートと底板構造の頭文字”build a dry space with floating linerplate and platform”を組み合わせ、「D-flip(ディーフリップ)工法」と命名しました。
特徴・優位性
- 補修、補強工事に必要な範囲に限定した締切りにより仮締切り設備の小規模化、施工の省力化
- 仮締切りの小規模化に伴うコストダウンと工期短縮
- 仮締切り材の河床等地盤への貫入が不要のため、河床条件に左右されない(堅さや防護構造物など)
- 部材の分割化により人力施工が可能
技術の概要

河川内橋脚の耐震補強工事や補修工事においては、施工のための渡河設備(桟橋等)や仮締切り設備を構築するのが一般的ですが、これらの設備構築には多大なる工期や費用を必要としていました。本工法は、仮締切り設備の省力化・小規模化により仮設工事の工期短縮やコストダウンを図る事を目的として当社で開発したものです。 「任意深度定着型仮締切り工法」と表現しているように、既設橋脚外周の任意の高さ(深さ)で仮締切り設備を固定してドライな空間を構築するため、鋼矢板工法のように河床条件(地盤の硬さ、河床防護工など)に影響されることも無く、さらに大型重機械作業も不要となります。
従来工法との比較
在来工法(鋼矢板式) | D-flip工法(任意深度定着型仮締切り工法) |
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〔概要図〕 ![]() |
〔概要図〕
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工期短縮・コストダウンが可能に!
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- 鋼矢板を河床に打込むことで作業空間を構築するため、補修・補強の範囲が僅少であっても仮締切りの範囲は大規模となる。
- 鋼矢板の打込みには大型重機が必要であり、仮桟橋等の渡河設備が大規模となる。
- 地盤が硬質(岩盤等)の場合や河床防護工に支障物が存在する場合は鋼矢板の打込みが困難なため対策工が必要となる。このため施工に長期間を要し、コスト高となるリスクがある。


- 任意深度で作業空間の構築が可能なため、補強・補修範囲のみに仮締切りの範囲を限定できる。
- 仮締切り構造が軽量部材で構成されるため、大型重機が不要(条件によっては人力のみでの施工も可能)となり、渡河設備は小規模で施工可能。
- 締切り範囲を任意深度までに限定できるため、河床の状況によらず施工期間は一定かつ、短期間で施工完了が可能。
止水構造
ライナープレートによる止水壁と、締切り深さに応じた2種類の底板構造で締切り設備を構築します。
項目 | 止水構造 | 底板構造 | ||
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水深 | 2.0m以下 | 8.0m以下 | 2.0m以下 | 8.0m以下 |
構造 | ![]() |
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特許情報
発明の名称 | 特許番号 |
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橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の設置方法 | 特許第6273328号 特許第6351776号 |
橋脚補修・補強工事に用いる仮締切り構造体の止水工法 | 特許第6234525号 特許第6351681号 |
浮体併用による重量構造物の移動方法並びに橋脚補修・補強工事用仮締切り構造体設置時に用いる仮設重量構造物の撤去移動方法 | 特許第6284660号 特許第6366663号 |
※その他7件の関連工法を特許出願中
施工実績
- 奥羽本線米代川橋りょう耐震補強工事
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開発者メッセージ

既存技術を高次に組み合わせた新工法
開発のきっかけは単純なことでした。橋脚の一部補修の工事を担当していた時に頭をよぎった「全体を囲む大掛かりな工事ではなく、必要な部分だけを囲んで、工事ができる空間を確保できないか」という考え。それができたら、工期もコストも減らせ、省エネもかないます。そこから構想3年。概念はすぐに固まったものの、止水性については悩みながら具体化を図りました。まずミニチュアで実験し、その後は適用予定のサイズでチェック。問題がないことを確かめ、特許申請と同時に施工に着手しました。 この工法を使用し、狭隘な箇所でも作業できる方法を模索しています。吊り足場によるアプローチ方法を検討しており、今、さらなる改良を試みています。完成は間近です。
D-flip工法は、発想は画期的ですが、実際に行う施工技術は当たり前の、つまり基本的な既存の方法を高次に組み合わせた工法です。だから、工事フローを協力会社のスタッフに説明すると、「へえ」「それでできるの」と驚かれるほど。名前からして特別な難しいことをすると思いきや、誰でも知っている材料と簡単な作業の組み合わせで、これまでなかった仮設方法が実現できる。ここも同工法の大きな特徴であり、利点です。「次はどんな『今はできないこと』をできるようにしようか」と楽しみながら日々、挑戦しています。
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